空き家の火災リスクは?原因や所有者の責任についても解説

空き家は人の出入りが少ないため、火災などのトラブルに気づきにくく、被害が大きくなりやすい傾向があります。
とくに、タバコの不始末やガス漏れ、さらには放火といった原因による火災については、総務省消防庁の令和5年火災統計で、放火・放火疑いは10.6%、たばこは9.0%と示されていますが、空き家に限定した公的統計は公表されていません。
なお、こうしたリスクを減らすためには、定期的な見回りや消火器の設置など、予防策を講じることが重要です。
この記事では、空き家で発生しやすい火災の主な原因や防止策、所有者に求められる対応について解説いたします。
空き家火災の原因の種類

空き家の火災は、住人がいないため発見が遅れ、被害が拡大しやすい傾向があります。
以下では、想定される主な原因とリスクについて詳しく解説していきます。
不始末なタバコによる火災の危険性
空き家周辺で捨てられたタバコの火種が雑草や乾燥した落ち葉に着火し、延焼することがあります。
火元が屋外にある場合でも、風によって火の粉が屋内に入り込み、天井裏で延焼が進む事例も報告されています。
また、人通りの多い場所ではポイ捨てが原因となる事例が報告され、また不法侵入者の喫煙が火源となるケースも確認されています。
さらに、若者のたまり場やホームレスの避難場所となった空き家では、このリスクがさらに高まるでしょう。
そのため、草刈りやごみの撤去を徹底し、火の付きやすい環境をなくすことが基本です。
ガス機器の老朽化や残留による発火リスク
長期間放置されたガスコンロや給湯器は部品が劣化し、配管の緩みやひび割れからガス漏れが起こりやすくなります。
都市ガスは、閉栓手続きで漏洩リスクを抑えられますが、未撤去のLPガスボンベや配管が残る空き家では危険が残ります。
また、さびたボンベに穴があくと屋外でもガスが漏れ、わずかな火花で出火する恐れがあるでしょう。
さらに、定期点検を怠るとガスが室内に滞留し、スイッチを入れた瞬間に爆発する危険があります。
なお、冬場に凍結した配管が破損して漏れる例もあるため、寒冷地では断熱材の巻き直しも重要です。
そのため、ガス会社に閉栓を依頼したうえで配管を撤去し、ボンベは専門業者に回収してもらいましょう。
古い空き家では、点検や撤去がおこなわれないままのことが多く、早期の専門点検が不可欠です。
放火による被害の深刻さとその背景
空き家は、管理されていない印象から放火の標的になりやすいといわれます。
夜間や人通りの少ない場所では危険が高く、施錠の甘い出入口や割れた窓から侵入されやすい状況が放火の温床となります。
さらに、敷地内に廃材やごみが放置されていると着火物となって被害が拡大します。
また、自治体によっては空き家の簡易警備に補助金を出す制度もあり、利用すれば費用負担を抑えつつ防犯性を高められるでしょう。
そのため、映像をクラウド保存すれば証拠保全にも役立ちます。
なお、所有者が清掃や施錠を怠れば管理責任を問われ、損害賠償を請求される場合があります。
空き家で火災が起きないための対策法

空き家で火災が起きると、発見が遅れやすく近隣にも延焼しやすいため、事前の対策が欠かせません。
対策には、「出火させない」「早く見つける」「被害を拡大させない」という三段階の視点が必要です。
以下では、効果的な防止策をご紹介いたします。
定期的な管理と見回りによる予防
空き家を安全に保つには、定期的な見回りと清掃が基本です。
外観の異常や郵便物の滞留、雑草の繁茂を確認し、その都度剪定や撤去をおこなえば着火物を減らせます。
また、屋外の枯れ枝や可燃物をまとめて処分することで、放火リスクも同時に低減できるでしょう。
さらに、除草剤や防草シートを併用すれば再発を抑え負担も軽くなります。
室内では、長期間使われていない電気設備やガス機器を点検し、不要な配線や機器は撤去します。
くわえて、窓や雨戸を定期的に開閉し室内の湿気を逃がすことで、配線や木部の劣化を遅らせられます。
なお、遠方在住の場合は、月1回の巡回と報告書送付などをおこなう空き家管理サービスを活用すると安心です。
防火設備や侵入防止対策の導入
住宅用火災警報器と消火器を設置しておけば、万一の出火を早期に把握し初期消火をおこなえます。
火災警報器は電池式でも構いませんが、長期管理を考えると業務用の長寿命品が向いているでしょう。
また、通信機能付きタイプを選べば、離れた場所からスマートフォンで異常を受信できます。
さらに、粉末式のほか、扱いやすいスプレー式を玄関に置けば初期対応しやすくなります。
くわえて、センサーライトや防犯カメラなどの防犯設備は放火犯の抑止に有効です。
なお、窓や扉の補強錠を施し、建物周囲に「管理中」と記した看板を掲げることで監視体制を示し、火災と犯罪の両方を防げます。
ご近所との連携による早期発見と抑止
近隣住民と普段から挨拶し情報を共有しておくことで、異変の早期発見と通報につながります。
また、定期的に連絡先を交換しておくと、万一の際の連絡ルートが確保できます。
さらに、地域の防犯マップに空き家情報を載せると、見回り時に注意を促せます。
くわえて、自治会や防犯パトロールと連携し、空き家の情報を共有して定期的に見回ってもらうと抑止効果が高められるでしょう。
こうした地域連携は、防災訓練の実施率向上にもつながり、地域全体のレジリエンスを高めます。
空き家で火災が起きた時の持ち主の責任

空き家で火災が発生すると、所有者には損害賠償を含む法的責任が生じ得ます。
2023年改正の空家等対策特別措置法では「管理不全空家」が規定され、行政指導や過料の対象も広がりました。
以下では、具体的な責任の範囲を解説していきます。
所有者に問われる重過失の可能性
空き家の火災で所有者が賠償責任を負うのは、危険を認識しながら対処を怠った「重過失」に当たる場合です。
老朽化した配線や可燃物を放置し、点検の要請や行政からの注意喚起を無視していたと認められれば、未然に防げたとして責任を問われます。
また、裁判例では火災による損害は、社会的影響が大きいと評価され、多額の賠償が命じられたケースもあります。
さらに、所有者が高齢や遠方在住でも、代理人を立てて管理する義務は免れません。
くわえて、保険会社の調査が入った際に点検記録がないと、保険金が減額される恐れもあります。
放火であっても責任を問われるケース
放火が原因でも、容易に侵入できる状態や大量の可燃物を放置していた場合は、所有者の過失と判断されることがあります。
施錠管理や可燃物の除去など、基本的な防火措置を怠れば、判例上も賠償責任を負った例があります。
逆に、定期巡回と施錠徹底が証明されれば過失相殺が認められる場合もあります。
そのため、日誌や写真で管理状況を記録しておくと、自衛にも訴訟リスク軽減にも役立つでしょう。
損害賠償や近隣住民への影響も考慮
延焼で隣家が被災すると、修復費用や仮住まい費用など、幅広い損害賠償を請求される可能性があります。
さらに、賠償請求が数千万円規模に達する例もあり、経済的負担は極めて大きくなります。
また、火災保険に未加入の場合は自己負担となり、近隣との信頼も損なわれかねません。
住宅地だけでなく商業施設が隣接している場合は、営業補償が加算されるため、被害額はさらに膨らみます。
そのため、日頃から適切に管理し、保険加入を含む備えをおこなうことが重要です。
まとめ
空き家は、管理が行き届かないことで火災リスクが高まり、思わぬ損害や周囲への被害を引き起こす可能性があります。
所有者には適切な維持管理が求められ、怠ると法的責任や近隣トラブルに発展する恐れがある点に注意が必要です。
定期的な点検や清掃、地域との連携による予防策を講じることで、空き家火災のリスクを大きく軽減できます。

(有)青葉住宅
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